「誰かのために」を叶える優しさと強さ

この夏、久しぶりに飛行機に乗ったんです。
やっぱりいいですよね、飛行機。
普段なかなか乗ることがないから、非日常的なワクワク感が楽しめる。
機内に乗り込んだら、かっこいいユニフォームに身を包んだ客室乗務員さんがにこやかにあいさつしてくれる…ああ今回もステキな旅になりそうだ。そんな幸せに包まれる瞬間。

CA兼カフェスタッフ？ その肩書きにワクワク

オンラインでのインタビューを約束していた、ある土曜日の朝。
新しいkogare人との出会いを楽しみにノートパソコンを開くと、そこには開放的なカフェでくつろぎながら穏やかな笑みを浮かべる男性が。

休日の朝からお時間を取ってくださったばかりか、爽やかオーラを振りまいてくださってありがたいです本当に。

それでは堺さん、よろしくお願いします。お話を聞けるのをずっと楽しみにしていました！さっそくですが、男性で客室乗務員をされているというのがとてもめずらしいと思って、私はすでに興味津々です。

「やはりそこが気になりますよね。僕も実際この仕事を始めるまでは、男性が客室乗務員になれるなんて考えていなかったんですよ。

でも、もともと飛行機に乗るのが大好きで航空関係の仕事にあこがれていて、『乗客の皆さんにいい経験をしてもらいたいな』と考えていたら想いが実現したんです。」

北海道ご出身で、学生の頃から飛行機で旅に出ることが多かったという堺さん。身近な移動手段でありながらも、乗るときはいつもワクワクしていたんだとか。
多感な時期に刻んだ思い出が、あこがれにつながっていたんですね。夢を叶えた充実感が、力強い口調からも伝わってきます。

でも、航空会社で働いている人って忙しいイメージがありませんか？　それこそ世界中を飛び回っているような。もし堺さんと仲良くなれても、一緒に時間を過ごすのは難しくないか心配・・・

「確かに、あちこち飛び回っていますね。時にはアテンドした便の行き先で宿泊して、次の日の便で戻ってくる日もあります。生活サイクルもちょっと不規則かな。

でも、大切な人と過ごす時間はしっかり取りたいですし、今朝も副業先のカフェで軽く仕事をしてきたくらいですから、アクティブに動けるタイプだと思いますよ！」

そうかー、それならひと安心・・・ってちょっと待ってくださいね。今、カフェで副業してるっておっしゃいました？　私の聞き間違い？

「間違いじゃないですよ！会社で副業が認められているので、気分転換も兼ねて好きなカフェでも仕事をしているんです。同じ接客業ですけど、客層も違えば求められるサービスも違うので、それがおもしろくていいリフレッシュになるんです」

すごい！　男性キャビンアテンダントにしてカフェのスタッフ。何だか肩書きを聞いているだけで、二度と現れないkogare人に出会えた気がする。

でも、こうして本業がお休みの日にもカフェで働くなんて、お客さんと接するのが本当にお好きなんですね。学生の頃からそんな性格だったのでしょうか。

「もともと『誰かのためになりたい』という気持ちは強いタイプでしたね。中学生の頃はサッカー部に入っていたんですけど、選手としてはなかなか上手になれなかったんです。

そんな自分に何ができるかと考え、練習グラウンドの掃除を率先してやることにしました。自分のできることで役に立てるって、すばらしいことだと思うんですよ」

「誰かのためになりたい」彼に訪れた転機

学生の頃から、常に周りの人を想う優しさを持っていた堺さん。その後、他にもお話を聞いていると少し意外な？特技をお持ちであることがわかりました。なんと4歳の頃から空手を習ってきて、全国大会でも優勝するほどの腕前なんですって。

「そうなんですよ。ずっと練習に通うのはつらかったですけどね。周りの友達も頑張っていて強くなっていきましたし、負けないように努力したことが成果につながったのかな。親も応援してくれていましたし、何とかそれに応えたいなって」

自分が強くなれたのも周りのおかげ、そう言える純粋な心が彼の強さであり魅力なんでしょうね。そんな堺さんにも転機が訪れます。

就職先を考えた結果、警察官として社会人としての第一歩を踏み出したのです。「誰かのためになりたい」が信条の堺さんにとっては、ぴったりのお仕事に思ったのですが・・・

「自分でもそう思っていました。困ったときに駆けつけてくれる存在になりたいなって。実際、やりがいを感じることもたくさんありました。

でも、思っていた以上に資料の作成などデスクワークもたくさんあって、『この仕事を続けていて成長できるのかな？』と疑問を持つようになって、結局1年くらいで退職することにしたんです」

空へのあこがれに、もう一度チャレンジ

強い信念を持っている堺さんだからこそ、一度モヤモヤした気持ちが芽生えると切り替えも早かったのかもしれませんね。その後、転職活動を始めることになります。

「やっぱり飛行機に携わる仕事を諦められなくて・・・実は大学を卒業するタイミングでも航空会社への就職も考えていたんですけど、当時は『男性じゃ無理だろう』と勝手に思い込んじゃっていたんです。
でも、改めて調べてみると採用情報があって、チャレンジしてみようと」

そうしてあこがれの世界へと飛び込んだ堺さん。入社して1年ほどが経ち、同僚からも「一緒にアテンドしてくれる日はとても助かる」と言われるなど、すでに会社に欠かせないメンバーとしてご活躍中だそうです。

客室乗務員のお仕事はていねいなサービスだけでなく、重い荷物を運んだり、高い場所の荷物を動かしたりするなど、男性ならではの力が役立つこともたくさんありますもんね。
これからも「優しくて強い」客室乗務員であり続けるための、理想像やこだわりはあるんですか？

「はい、僕が勤めているのはLCCと呼ばれるカテゴリに入る航空会社なんですけど、提供できるサービスに制限はあっても気持ちをこめた接客に金額は関係ないと思っています。

『LCCだからサービスの質は低くても仕方ないよね』とは思われないよう、本気で日々の仕事と向き合っています。きっと同僚もみんな、同じ気持ちなんじゃないかな」

堺さんの言葉の一つひとつから、お仕事への愛情と情熱が伝わってきます。夢を叶え、さらなる成長を目指す一人の男性の魅力が、そこにぎゅっと詰まっているように感じられました。

安心してもらえる存在になりたい

いつも全力で毎日を過ごす中で、プライベートで支えてくれる存在との出会いを心待ちにしていらっしゃるそうです。思い描くお付き合いの仕方とか、好きな女性のタイプを教えていただいてもいいですか？

「どちらかといえばパートナーを引っ張っていくタイプではないので、アクティブで芯がある人がいいかな。
お話しした通り、僕は旅が好きなので色々なところに行けたらいいな。

北海道に住んでいた時は、地元の住民だからこそ知っているような名所にもドライブしたりしていましたよ。
仕事の関係で休みの日が合わないこともあるかもしれませんが、できる限り時間は調整して会いに行こうと思いますし、一緒に過ごせる時間を大切にしたいですね」

理想は「僕がいることで周りのみんなに安心してもらえるような男になりたい」という堺さん。
この人ならきっと、お仕事でもプライベートでも、関わる全ての人から頼りにされる存在になれるはず。
インタビューが終わったあとの清々しい余韻が、そう確信させてくれました。

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（2022/9/10 取材）

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